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心配せんといて

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心配せんといて

店内にて

母が分厚くて重い昔のアルバムを何冊も本箱に並べていたので、軽いフォトブックを買って来て娘と整理をしました。

母の症状は緩やかに進行していき、いつか全ての記憶はなくなるのかもしれません。

それでも家族やお友達の写真が直ぐに見られる場所にあれば、少しでも進行を遅らせる事が出来るかもという娘心からでした。

新しいアルバムを母に手渡し反応をみたら、その日の母は写っている殆どの人に見覚えがなさそうでした。

アルバム効果か、その翌日から母は私の顔を見る度に神戸の弟を自宅に招待したいと言い始めました。

「ベッドは1つしかないけど姉弟だから床にお布団敷いてゴロ寝で良いんだから。 もう長いこと弟に会ってないから会って話がしたいわ。来るように言ってくれない?」「わかった。でもまだ寒いからもう少し暖かくなってきたら来てもらおうね。」

母は首を縦に振ってくれませんでした。

何度も何度も顔を合わせる度に同じ事を言うので、これはもう私が連れて行くしかないのかなと思い始めていました。そんなところに神戸で日帰りの仕事があるから連れて行こうかと嬉しい親戚からの申し出が。

助かった!笑

母に言うとその事ばかり言い始め質問責めに合ってこちらの頭が壊れるので、出発当日まで内緒にする事にしました。

トイレの心配は全くないこと、最近は私の家に来て10分位で迷惑になるから帰るねって帰り支度を始めること、そんな母を引き止めて座らせて数十回も繰り返している事を私は叔父に説明しました。

「叔父ちゃんにも同じ事をすると思うの。迷惑をかけてしまう、それが物凄く心配だわ。」

叔父は大笑いして、「お姉ちゃん、やるやんか。心配せんといて。俺ら姉弟なんやから。」

良かったね、お母さん。

やっと会えるよ。