硬いストレッチャー

蝉しぐれの降り注ぐ、夏の盛りとなりました。 蝉、鳴いてます?
皆様、お健やかにお過ごしでしょうか。
先月のある深夜、私は生まれて初めて背中のこむら返りを経験しました。
寝ている私にそれは急にきて、グワ〜ングキッ!グワ〜ングキッ!と連続海老反り5回。。
収まった後も少しでも動くと6回目が来そうで朝までピクリとも動けませんでした。
朝になりゆっくり時間をかけてベッドから降りて、ネットで『背中こむら返り』と調べたら背中のギックリ腰と書いてありました。
ギックリ腰は主治医が出してくれた鎮痛剤や湿布をどんなに飲んでも張っても何日経っても一向に良くなりませんでした。
それどころか痛みは日に日に強くなっていきました。
痛いけれど真っ直ぐ歩くのはまだマシで何が大変ってベッドに寝転ぶ時で、どうやれば痛くなく横になれるか縁に座って毎晩考えこみました。
空中で横になってからゆっくりそっと降ろしてくれたらどんなに楽だろうと何度夢見たかしれません。
あの日は娘がチェルを連れて遊びに来ていて、私は相変わらず鎮痛剤と湿布で痛みを誤魔化しながらそろりそろりと歩いていました。
そしてそろり足を下ろそうとしたその場所にチェルが丸くなって寝ていて、私は踏み潰しそうになって咄嗟に着地点を変えてズドンと転び数メートルスライディングしました。
そんな事が起きた2週間後の午後、私は余りの痛みで呼吸困難になり救急車に乗せられていつもの病院に運ばれました。
想像以上にストレッチャーは硬く真っ直ぐで、道路は段差だらけで死ぬかと思いました。笑
前にも具合が悪くなり娘にタクシーで病院に運んでもらって即入院という事があったので、途中で薄目を開けて同乗してくれている娘をチラッと見たらなんていうか・・・もう勘弁してよ的な表情をしてしら〜っと外を見ていて申し訳なくなりました。
母の同乗者として救急車に乗った時と自分が病人とではわけが違います。
やっとの思いで病院について硬いストレッチャーから硬いストレッチャーに1の2の3で移され、だぁっ〜って先生達が走るその横で救急隊員が私の病状の説明をしているのを最後に私は気を失いました。
次に目を覚ましたのは頭の上で先生達が集まって、「これは背中じゃなくて先に心臓じゃない?心不全、起こしかけじゃないか?」「そうかもしれないですね。」という声を聞いた時でした。
え?ええ〜っ?
私、癌じゃなくて心不全で死ぬの?
ガーン😨
「CCUね、先ずカテーテル!!」
バタバタとどこかに運ばれながら私は朦朧とした頭でCCB?とかカテーテルってあのカテーテル?とか、ちょ悪いのは背中だからぁ〜とか思っていました。
後日家族に聞いたところCCUに運ばれカテーテルの順番を待っていたら午後8時になってしまい、やっと順番が来たと思ったところにマジの心不全が運ばれてきたので私の検査は翌朝に変更になったそうです。
検査は局部麻酔で行われ途中で先生が、「ここはちょっと痛いですよ。頑張って。」と声を掛けて下さったのですが検査室もやっぱり真っ直ぐで硬く愛想のないベッドで、背中と腰が痛過ぎてそれどころではありませんでした。
「よく頑張りましたね、終わりましたよ。」と言われて先生に私の心臓は悪いのかと聞くと、「いや、昨日は焦りましたけど心不全とかじゃないですよ。血管も綺麗ですし心臓も綺麗ですよ。カメラの映像や造影剤でちゃんと写してますから後でお見せします。組織検査にも回しましたからね。」
「そうなんですか、じゃ私は」
「軽度の蛸壺ですね。詳しくはCCUに戻ってからお話ししますが2週間ほど前にご家族に不幸があったとか、ペットが死んだとかショックな出来事はなかったですか?」
蛸壺て・・・
「え〜と。。あっ!チェルを踏み潰しそうになって」
「チェル?」
「はい、18歳の愛犬です。私そろりそろり歩いていて踏み潰しそうになって避けて転んだんです。18歳になっても頑張って生きてるのに。」
しーん・・・
13日間の入院で蛸壺は飲み薬で完治しました。
でも背中は・・・
「圧迫骨折です。前回入院時のステロイドの大量、長期投与によるものだろうと考えます。」
え?!ギックリ腰じゃなくて?
5回目の入院を終え、今は自宅でコルセット生活です。
カブト虫みたいなコルセットでグルグル巻きになってガンダムみたいに歩いています。
癌→手術→抗がん剤→副作用→免疫療法→副作用→副作用の後遺症→カブト虫